アーティスティックな男の子。

天才、ゆきちゃん








『とりあえず発表用はラストスパートでしょー?スポンサー達に送るCMの曲ももう終わったし、新曲提供ももうちょいで終わる。後は試験かなぁ。』


「…アンタ、そんなのもやってんの?」


『まーねん。』


暇を持て余してたら、ハルくんに強制召喚された。


今ハルくんは私の顔にメイク中。


「…てっきり何にもしてない人だと思った。つか学生時代の秋さんだけが色々稼いでんのかと思ってた。」


『なんと、心外な。私は天才でとっても良い子なので色々お仕事やってるんでーす。』


「…秋さんは?あの人、学生の時有名だったろ。保健医の他に副業やってねーの。」


『やってるっちゃやってる。仮歌とか。』


「…秋さんが、仮歌。」


『以外でしょー?秋なら余裕でデビュー目指せんのにねぇ。私の曲で。』


「…余程ほっとけねーんだな。」


『えー?』


「金はいくらでもあった方がいいけど、アンタを寂しい思いにさせたくないんだなって。」


『あー。』


「妹思いだな。」


『まあ確かに、私がちっちゃい頃は全然いなかったしね。寂しかったけど、今は全然寂しくないね。』


むしろ煩いよね、うん。


「さすがシスコンだな、秋さん。」


『まあ認める。』


「…はい、目、開けていいぞ。」


『お…どう?今回は。』


「…今回の新作は当たりだな。まあ大方予想通り。」


『良かったねぇ。あ、私にも見して。』


「今手鏡しか持ってねぇ。」


『いいよ、見して。……おお、上手い。私より上手い。』


「だろうな。専科だし。」


『ハルくんは将来、私のメイクアップアーティストさんだな!!』


「あー、考えとく。」


『テキトーに言ったな?今。』


「…あ、そーいや和田がさ。」


『和田?…あ、映像学科の和田っちか。最近会ってないんだよね。』


「話があるって言ってたんだよな。俺に伝えとけって言われた。」


『おk、明日辺り職員室言ってみるわ。』


「それ俺も行く。俺も来いって言われたんだよな。」


『え、ハルくんも?何の用があるんだろ。』


「さあな。行ってみなきゃ分かんねーだろ。」


『えー、面倒くさそうなら逃げようね。』


「いや、ダメだろ。」


『ま、放課後待ち合わせね。それかまた教室行こっか?』


「来んな。目立つ。」


『えー、つれない。』



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