白昼夢
ちり、と鋭い痛み。頬に油が飛んだのだ。
私は熱いスキレットを受け取りながら、小さく顔をしかめた。

「え!もしかしてどっか油飛んだ!?」 

打出さんが目を見開いて尋ねてくれる。

「全然大丈夫です!鶏アヒージョ、出まーす」

気にしないでという意味を込めてニッコリしてから、さらに笑顔を作ってフロアに出る。
休日のランチは戦場だ。自分に構っている暇などない。

「お待たせ致しました、鶏のアヒージョでございます」

ジュージューいう料理を見つめ、嬉しげな顔でお客様が頷いた。
私はこの瞬間が好きだ。
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