Aliceーアリスー

狂気のクロッケー大会






水色の可愛らしいアリスモチーフのワンピースを着ていたのはつい先程までの話。

私が今着せられているのは女王様の趣味全開の真っ赤で豪華絢爛な派手すぎるワンピースだ。


鏡で見た時は驚くほど似合っていなかったので着ることを全力で拒否したがそれが叶うことはなかった。

ここでの女王様は絶対の存在で逆らうことなど許されない、逆らえばそれはすなわち死刑、首をはねられることを意味すると血相を変えたメイドさんに必死に訴えられ、渋々諦めるしかなかったのだ。


さすがに死にたくはないので。


「なるほど。白ウサギの行方ね……」


絶対的な女王様なら知っているのではないかと一緒に狂気のクロッケー大会に向かう途中で女王様に白ウサギの居場所を聞いてみる。

すると少し考えてから女王様はこう言った。


「残念だけれど、私にもわからないわ。アレはいつも気まぐれで同じ所に留まらない。招待状を出そうにも出せないのが現状なの」


「そうなんだ……」


眉をひそめて答えた女王様を見てガクッと肩を落とす。

女王様でもわからないって白ウサギは一体何者なの?


「落ち込まないで!アリス!白ウサギは招待していなくてもたまにこちらに顔を出したりするわ!今日はクロッケー大会だし、もしかしたらこちらに来るかもしれないわよ!」


肩を落とす私の様子を見て女王様が元気付けようと慌ててこちらに困ったような笑顔を向ける。

その姿は気品がある美しい女性なのに慌てているものだからものすごく可愛らしく見えた。


ちっさいマスコットにして持ち運びたい。







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