君と見つける、恋の思い出
俺が聞いていないのは、こういう理由もあるが、そもそも聞く機会を失ったのもある。
「蓮くん、蓮くん! 高城先輩がいるよ!」
俺がちょっと悩んでるのに、人の気も知らないで。
そりゃ、青隊だからいるだろ。
叶花は体を揺らし、大きな声で盛り上がっている。
そして黄隊の演技タイム。
女子の衣装は、袖が肘辺りまである黄色いシャツに、青い生地のオーバーオール。
顔には、目の下にちょっとしたペイントシールが貼られている。
これは男子も同じらしい。
「蓮くん、大変大変。こっこが後ろにいすぎて見えない!」
応援は、応援団が前半分に、その他は後ろにいる。
その他の並び方は隊によって違うが、黄隊は前に背の高い人を置いているようだ。
そういうわけで、お世辞にも背が高いとは言えないこっこは、本格的に後ろにいることになる。
「いいこと考えた!」
……お前のいいことは、俺にとっての悪いことなんだが。