君と見つける、恋の思い出
夏祭り
体育祭が終わり、すぐに夏休みとなった。
と言っても、七月は課外授業があって、普通に学校に来なきゃならないから、夏休みの感覚はないが。
「蓮くん! 夏祭り、行きたい!」
午前中の課外のあとは部活で、部室で叶花がそんなことを言ってきた。
「櫻木さん、夏祭りもいいけど、部活のことも忘れないでね」
すると、俺がなにかを言うより先に、先輩が苦笑気味に言った。
部活のこと。
部誌に載せる作品の締め切り。
短編小説でも中編小説でも、詩でもいいらしい。
その締め切りが、八月初旬だったはず。
「ちゃんと覚えてます」
叶花は敬礼し、笑った。
あのとき悩んでいたのが、嘘のよう。
まあ、叶花には難しい顔より、笑顔のほうが似合ってるから、別にいいが。
「で、蓮くん。夏祭り!」
そして叶花は俺のほうに戻ってきた。
……忘れてなかったか。
「どこの祭りだ」
場所によっては、行けないと言いきれる。