君と見つける、恋の思い出
「すみれ先輩のクラスってなにするの?」
一階上にある図書室に向かうために階段を上ってる途中に、叶花は彼女の横に並んで聞いた。
「浅賀くんに聞いてないの?」
「だって蓮くん、絶対知らないって言うもん」
ああ、よくわかったな。
クラスの出し物なんて、知るわけない。
というか、興味がない。
それを聞いた彼女は、苦笑した。
「フロートを作って売るの」
「フロート?」
「簡単に言えば、ジュースにアイスを乗せたもの、かな」
……そんなものを売る話になってたんだな。
「フロート! 絶対買いに行くね!」
叶花はたぶん、フロートを知らない。
だから、楽しみというか、期待が増しているんだと思う。
そして図書室に着き、彼女は慣れたように中に入っていく。
俺と叶花は場違い感を覚えながら、彼女の背中を追う。
彼女が司書室から出てきたときは、手にオレンジ色の布があった。
……どう見ても、テーブルクロスじゃない。
フェルトのような布が意外といい感じで、代用しているってとこか。