君と見つける、恋の思い出
入院
ひとまず保健室に運ばれたと聞き、俺とこっこはそこに急いだ。
保健室には結斗さんがいて、入った瞬間睨まれた。
だけど、なにも言ってこない。
たぶん、どうして目を離したんだ、とか文句を言おうとしたんだと思う。
でもそれは、結斗さんにも言えることだった。
それに、俺に任せて見て回ると言ったのは、叶花だ。
俺が責められるのは、違う。
「先輩……さくら、大丈夫……だよね?」
隣で、こっこは怯えていた。
……この感覚、知ってる。
「大丈夫だ」
根拠はない。
でも、そう言ってもらえることで、不安が消えると、俺は知っている。
……根拠がなくても、こういうときは大丈夫だと言ってもらいたいものなんだろうが。
すると、結斗さんが真剣な顔を見せた。
「叶花ちゃんは、僕が病院に連れてく。二人は、戻っていいよ」
そう言われて、わかりました、なんて言えるか。
こっこなんて、特に。
「私、付き添います……!」
「ダメよ」
そんなこっこを説得したのは、養護教諭だった。