君と見つける、恋の思い出
「うん! そうだ、蓮くん!」
「飲み物だろ。行ってくる」
クッキーとなると、口の中の水分、全部なくなるからな。
言うと思った。
「行ってらっしゃーい」
叶花の声を背中で受けながら、ドアを閉める。
……今回は、理由があった。
適当に時間、潰さなくていいよな。
俺は自販機で叶花の分と、一応彼女の分の飲み物を買い、来た道を戻った。
「……なの。あんたのせいで……」
部屋に入ろうと手すりに手をかけたとき、彼女の声が途切れ途切れに聞こえてきた。
……嫌な予感。
少し勢いよくドアを開けると、彼女が驚いたようにこっちを見てきた。
叶花は……
怯えてるような、怖がってるような感じか……
「あんた、叶花になに言ったの」
自分でも驚いた。
こんなにも低い声が出せるのか、と。
「わ、私は別に……」
彼女は怯えた。
それほど怖かったらしい。