君と見つける、恋の思い出
……なれるといいですね。
「れんくん、叶花と仲良くなりたくない?」
……バレたか。
「まあまあ、仲良くなろって言って、仲良くなれるもんじゃないから。叶花ちゃんも、そんな落ち込んだ顔しないの」
母さんたちが余計なことしたせいなのに。
俺、こいつみたいなタイプ苦手だから、仲良くなれるか怪しいし。
「蓮くん」
ずっと黙っていたおじさんに名前を呼ばれて、約束を思い出す。
いや、仲良くならなくていいって言ったじゃないか。
……空気を読めとでも言うのか。
俺に、嘘をつけって言うのか。
……違うか。
こいつを不安にさせるなって言いたいのか。
「……櫻木叶花」
「はい! どうしたの、れんくん」
名前を呼ばれて、大声で返事するなよ。
なんて思いながら、ベッドに近付く。
「よろしく」
目の前で見るには眩しすぎる笑顔だった。
「うん!」
こうして、俺と叶花の不思議な関係が始まった。