君と見つける、恋の思い出


そう言って微笑む叶花を、強くて綺麗な人だと思った。



そしてその日から、叶花が笑わなかった日はなかった。



ときどき一人で泣いていたけど、そのときは暗黙の了解で、誰も叶花の病室に近付かなかった。



「蓮くん」



いつものように病院内を歩いていたら、叶花の義兄になった結斗さんがコンビニから出てきた。



「今日も来てくれたんだね」



優しくて、穏やかに笑う人。


……それくらいしか印象がない。



「叶花ちゃん、蓮くんが来ると、いつも嬉しそうなんだ」



結斗さんはレジ袋をさげて、俺の隣に来た。



待て待て、どうして並んで歩いてる。


目的地が同じだとしても、並ぶのは遠慮したい。



……と、思ってても言えないのは、結斗さんが叶花の義兄だから、なんだよな。


俺は未だ、翔太さんの言葉の呪いに締め付けられている。



叶花の悲しむことはしない。



あの人も、なかなか恐ろしいことをしてくれた。


おかげで苦手な人と関わりを持たなきゃならなくなった。
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