君と見つける、恋の思い出
俺だってわかっていないんだ。
「文芸部、行ってもいいかな」
「いいだろ」
まだ二人で話すだろうし、付き合ってられない。
……だからといって、叶花に付き合う気もないが。
叶花は俺が逃げようとしていることがわかっているからか、学ランの袖を掴んでいる。
「じゃあ行こう」
そして叶花は俺の腕を引いて、教室を出た。
文芸部の部室は二階にあるらしく、階段を降りる。
この高校はクラスごとの教室があるホームルーム棟と、実験室や調理室、保健室がある特別棟が並んで建っている。
それを繋ぐ廊下が、各階二本ずつある。
文芸部はその廊下の二階にあった。
ドアの前に来て、叶花は躊躇うことなく、開けた。
「すみません、見学に来ました」
部室は案外狭かったが、男子生徒一人しかいなくて、広く感じた。
「ようこそ、可愛い新入生!……て、違うね? 二人とも、新入生じゃない」