君と見つける、恋の思い出


「二人とも酷い!」



そう言って、叶花は泣き真似をした。



俺と後輩は、揃って嘲笑った。


といっても、特に変わりないように見えたのはお互い様。



「そう言えば、浅賀先輩とさくら、一体どういう関係なんですか?」


「さくらと蓮くんは友達なのです!」



後輩の質問に、叶花は食い気味に答えた。



こいつは本当に学習しないな。



「さくら、ちょっと静かにしてて」


「……はーい」



いじけたのか、叶花は先輩のところに行った。



どうしてあんなふうに言われないと思ったのか、不思議でしかない。



「それで、答えてもらえますか」



だいぶ、叶花のことがわかってきたな、この子。


話が通じない、と。



基本ふざけるからな、あいつ。



「叶花が言った通り、友達」


「学年が違うのに?」



……なかなか鋭い。



だが、その攻め方は少し甘い。


逃げ道があるから。



「中学時代の先輩後輩だと、仲良くなるだろ」


「浅賀先輩が望んでさくらと仲良くするとは思えません」



俺も思えません。
< 81 / 240 >

この作品をシェア

pagetop