冷たい幼なじみが好きなんです


ショッピングモールに到着したわたしは、真っ直ぐにケーキ屋に向かっていく。


ショートのホールケーキを買って、すぐに家に帰って、録画しているドラマを観ようという計画だ。


今一番はやっているドラマの続きがすごく気になる。


優香と竜もそれを観ていて、このあいだドラマの内容で盛り上がったのだ。


また3人で話そう、そう思うとますます早く観たくなってきた。


この角を曲がれば、目的のケーキ屋にたどり着く。


それにしても、今日、お客さん多いなぁ。


2階でなにかイベントでもしてるのかな──


そんなことを考えながら、角を曲がろうとした、そのとき。


「………ッ……!?」


え………っ。


まわりの音がなにも聞こえなくなってしまった気がした。


人混みのなか、今、たしかに──遥斗の後ろ姿を見つけた。


あれは遥斗だ。後ろ姿だったけれど、わたしが見間違えるはずがない。


わたしの足は、ケーキ屋に向かわず………

遥斗の背中を、追いかけてしまった。

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