虹色〜番外編〜



花恋と斗真くんは、
2年生のときにおこったある出来事から
すれちがいをして、
昨年の春に1度わかれてしまった。


それから1年間、
花恋は秋くんとつきあっていた。


だけど、
花恋と斗真くんがわかれた原因である
ひとつ下の、
宇佐美(うさみ) 詩織(しおり)ちゃんが、
2年生にならずに
学校をやめたことがきっかけで、
秋くんとわかれて斗真くんとヨリをもどした。


いつのまにか、ひざにおいてあるお弁当箱に
かおがうつむいていた。


その顔を上にパッと上げると、
ちぃちゃんと瞬くんが言い合いをしていて、
そんなふたりを
流架と蓮くんがおもしろそうに笑っている。


左ななめまえにいる花恋と斗真くんは、
だれも、なにも、
ふたりに気はつかっていないのだけれど、
自然とふたりだけの空間になっている。


はなれていた時間をうめるように。


……そして、


チラッと横目で彼を見る。


だれと話すわけでもなく、
だれを見ることもなく、

黙々と購買のパンを食べる秋くん。


ふたり分あけられた距離に、胸がチクリとなる。


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