イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした
Stage.6

同期のアイツに告白


予想していた通り、連休明けの月曜日は来店客が多く忙しい。新規の口座開設に満期になった預金の預け替え、振り込みや納税の受付など、目の回るような忙しさに見舞われて一日があっという間に終わった。

「柴田さん、お疲れさま。これ、旅行のお土産」

定時を迎えて仕事もひと段落した頃、同じ窓口係の鈴木さんが私に声をかけてきた。入社十年目のベテランの彼女が手にしているのは、箱に入ったおまんじゅう。ゴールデンウイーク前に交わした約束を、きちんと覚えてくれていたことがうれしい。

「ありがとうございます」

「ううん。柴田さんにはいつも迷惑かけているから」

「そんなことないですよ」

首を左右に振った矢先、鈴木さんの表情がパッと明るくなった。

「あら、そう? それじゃあ今日もこれ、お願いしてもいいかしら?」

鈴木さんが、お土産と一緒にファイリングする書類の束を差し出してくる。

お土産につられてつい、いい顔をしてしまったことを後悔してももう遅い。

「……はい」と力なく返事をすると、お土産と書類の束を鈴木さんから受け取った。

< 114 / 210 >

この作品をシェア

pagetop