イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした

遠距離恋愛スタート


十月第二週の土曜日。新横浜駅から新幹線に乗り込む。向かう先は朝陽がいる大阪だ。

新幹線の指定席に座るとバッグからスマホを取り出す。そして朝陽に【今、新幹線に乗ったよ】とメッセージを送った。

久しぶりに、朝陽に会える!

ソワソワしながら新幹線が新横浜駅から発車するのを今か今かと待ちわびていれば、スマホがブルブルと震えた。

画面に表示されたのは朝陽からの返信。【了解。気をつけて来いよ】という短いメッセージを不満に思わないのは、あと二時間ほどで朝陽に会えるからだ。

新幹線が静かに発車する。

朝陽との距離が徐々に縮まっていくことをうれしく思いつつ、猛スピードで過ぎて行く窓の外の景色を見つめた。



「穂香! こっち!」

新大阪駅で新幹線を降りて改札を通った私の視界に映ったのは、手を掲げて自分の居場所をアピールする朝陽の姿。私にいち早く気づいてくれた朝陽に向かって小走りする。

「朝陽!」

今日の朝陽は、黒のパンツに白いシャツを羽織っている。シンプルな格好もよく似合う朝陽はやはりカッコいい。

目の前の朝陽をうっとりと見つめていると、私の視線から逃れるように朝陽が横を向いた。

「朝陽? どうしたの?」

久しぶりに会ったのに、素気ない態度を取るのはどうして?

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