イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした

四月下旬の最終週。朝陽から送られてきた新幹線の乗車券を使って新大阪駅まで行くと、待ち合わせ場所である改札に急ぐ。

「ほのかちゃん!」

自動改札機を通るとすぐに聞こえてきた私の名前を呼ぶ声に、頬が自然とほころぶ。

「蓮くん! 久しぶり! 元気だった?」

改札を出た先で私を待っていてくれた蓮くんのもとに駆け寄り、目線に合わせて屈み込めば「うん!」という元気な言葉が返ってきた。

「あれ? 連くん? 背、伸びた?」

去年の五月に会ったときより顔が引き締まり、背も高くなった印象を受けた私が尋ねると、蓮くんがコクリとうなずく。

「うん。のびたよ」

「そっか」

約一年振りに会った蓮くんの成長の早さに驚いたものの、まだあどけなさは残っている。そんな蓮くんをかわいく思いながら頭をなでた。でも……。

「なあ、穂香? 俺の存在、忘れてないか?」

蓮くんとの再会を喜んでいる私の頭の上に、朝陽の不機嫌な声が降り落ちてくる。

あれほど朝陽に会いたいと思っていたのに、挨拶もせずに蓮くんに夢中になってしまうとは……。

「あ、朝陽。元気そう……だね」

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