お嬢様は恋をしません。
8
「久しぶりだね」




「そうだね」





土曜日。莉緒の許可をもらって、今日はお休みにしてもらった。




志帆と話をするために。




注文したオレンジジュースとカフェオレが届く。





「まだ、コーヒー飲めないんだね」




「口がいつまでも子どもだからね」





そう言いながら、ストローを口元に運ぶ。






「学校、楽しい?」




「うん。いい友達も出来たし、勉強も、ついていけてるし」




「そっかー、じゃあ充実してないのは私だけか」





そう呟いて、志帆はコーヒーカップを人差し指でなぞる。





「なんか、あったの?」




「ん?大我とね、別れちゃったの」





薄く微笑んで、俺の目を見つめた。




あぁ、昔からこの癖だけは治ってない。




俺の口元が緩む。





「志帆はさ、俺の口から『やり直そう』っていう言葉を引き出したいの?」




「え…」
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