白馬の悪魔さま 【完】番外編追加

お話好きのおじ様たちに付き合って、毎日帰宅するのは日付が変わってから。
特別手当を請求したいくらいだ。

「お疲れ様です」

その言葉と共に、正面の椅子が引かれる音がする。

「……」

「昨日も接待ですか?」

「……接待なら交通費くらい出して欲しいわ」

「大変ですね」

「ええ、お陰さまで」

「里香さんが心配していましたよ」

私と同じB定食を前に手を合わせた野瀬京平に、ここで溜息を吐いたら負けな気がしてくる。

「他の席があったでしょう」

どうしてわざわざ正面に座るかな。

「たまには彼女の親友とも交流を取ろうと思って」

「それはどうもご丁寧に」

「例の人、落とせましたか?」

「……っ」

「あ、まだ相手にされてない感じです?」

どうしてこの男は、人が忘れていたいことを口にするのだろう。嫌がらせとしか思えない。

「あんたに関係ないでしょう」

「中華丼、結構上手いですね」
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