ねぇ、教えてよ。



ガラガラッ…


扉を開けると、ふわっと風に包まれた。

ああ、やっぱりいた。


この扉を開けるのは、今日で最後。

お気に入りだったこの場所は、明日には粉々になって消えてしまう。


だから、分かってた。

今日も…先生はここにいる、って。



「ここにいたら生徒の質問に答えられないじゃん」

「まぁ、そうだよな」



すぐ他人事みたいに言う、先生の悪い癖。

吐いた煙は、風と共に空へと舞っていった。




「…病気、だった」

「え?」

「心中でも自殺でもなく、ただの病気」

「そう、なんだ」



先生はまた、フーッと煙を吐き出して。

その煙をずっとずっと眺めてた。


先生…

舞い上がる煙を見て、今何を思いますか?


先生…

煙の中の貴方は、どんな顔をしていますか?

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