からめる小指  ~愛し合う思い~
「あぁ~あ。
お肉が焦げちゃった。
真面目な話しはするもんじゃないね!
せっかく四人で遊べるんだから、今を楽しもう!」

すっかり樹のペースに戻されて、バーベキューを楽しんだ。

暗くなり始めると、何処で調達したのか特大花火。

「遥、こっちこっち。」

特等席にはぁちゃんと二人で座って

「和君、お願い。」とライターと花火とロウソクを渡された。

俺が点けるのか??

こういう時に金持ちボンボンを感じるが

樹に持たせると危険なので素直に従った。

『遥』と呼ばれることに、すっかり満足したはぁちゃんは

終始笑顔だ。

俺の隣に来た千尋は「先生、手伝うよ。」と

これまたご機嫌。

千尋の機嫌が良いのは、もちろん楽しいこともあるだろうけど……

はぁちゃんが嬉しそうだからだろう。

現に今も、俺と居たいっていうよりも………二人にさせたっていう感じだから。

彼女の優しさは、言葉にしない分分かりづらい

だから家族……特にご両親には伝わってないのかもしれないんだけど……。

本当は、誰よりも気遣いが出来………優しいのだ。

「尋は……本当に良い子だよなぁ。
エライエライ。」

頭をグリグリ撫でてやると

「先生、コーラで酔った??」と不思議そうな顔をしながらも………

満更では無さそうだ。

「酔わなくったって誉めてあげるよ。
生徒の伊藤さんも…はぁちゃんの友達のちぃも………
俺の彼女の尋も………伊藤家の千尋も………
どれを取っても…………最高に良い子だよ。」

「……………ヒッ……………先生、花火が点いてないのに………
煙たくて……………ヒック…………涙が出るよぅ………………。」

千尋の可愛い言いぐさを聞くと、樹達が一緒なのも忘れて

………キスしていた。

「キャ!和君がキスした。」

「和君~、見えてますよ~」

二人のからかいに離れようとする千尋を無視して

キスを楽しんだ。

「花火まだ~」

からかいに飽きた樹の関心が、キスから花火に移った頃

ようやく千尋を離して………花火を点ける事にした。

千尋は……………

手伝うと意気込んでいたが………腰が抜けて使い物になりそうになかった。

後で怒られるだろうなぁ。
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