からめる小指  ~愛し合う思い~
二学期

過保護

「先生、おはようございます。」

「久しぶり、元気だった?」

「あぁ~あ、始まっちゃうねぇ~」

過ぎた夏休みを惜しむ声や、久しぶりに逢う友達に弾む声。

新学期に見られる、独特の朝を迎えた。

「先生、おはようございます。」

はぁちゃんは、今日も元気だ。

いつも二人で登校して来るのに、千尋の姿が見えない。

今朝からは、一教師として接っしないといけないのだけど……

初日から心配している。

あの日、飛行機の出発までショッピングを楽しみ

何ら変わることのない千尋と一緒に、マンションに帰った。

「後、一日だから一緒に居よう」と次の日も強引に一緒に過ごし

残りの3日間は樹に連絡して、はぁちゃんに一緒に居てもらった。

なるべく一人にしないで居たのに…………

今朝、千尋の笑顔を見るどころか……千尋の姿すら見ることが出来なかった。




「先生、大丈夫だよ!部活に行ってるから。」

俺があまりに情けない顔をしてたのか

先に察したはぁちゃんに、教えられた。

部活かぁ~。

ホッとするが、顔を見るまで安心出来ない俺がいる。

「望月さん、申し訳ないのですが伊藤さんに伝言をお願いしても良いですか?
放課後時間のある時で良いので、生徒指導室に顔を出して下さいと。
推薦のことでお話ししたいことがあるので。」

訳知り顔のはぁちゃんにニヤリと笑われたが、素知らぬ顔をして

後ろから登校して来る生徒に挨拶をした。

約束はしたが………心配は心配なんだ。

緊急事態だから仕方がない!と、誰に言うでもない言い訳を浮かべる。
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