ハイド・アンド・シーク


「好き…………」

ぽろりと、口にしてしまった。

え?と彼は少しだけ目を見開いて、私からゆっくりと手を離す。
もっと撫でてほしかったのに、行かないで。

「主任のことが、好きです」


手が震えた。
私、何言ってるんだろう。

自己抑制がきかなくて、理性が吹っ飛んだ。

「好きです」


彼は今度こそ、驚いた瞳で私を見た。
動揺と困惑と、何かに迷うような色をその目にたたえていて、意図は読み取れない。

部下だから、無下に断れなくて言葉を探している?
そう感じて、掠れた声で「ごめんなさい」とつぶやいた。


「こんなこと……ごめんなさい。もう二度と言いません。すみませんでした」


主任は、口をつぐんだまま何も言ってくれなかった。
ノーとしか受け取れない反応に、私はただただ衝動的に告白してしまったことを後悔した。


私は大バカだ。
自分で関係を壊してしまった。








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