キスからはじまる
キス4


「ねえねえメグちゃん。2限目の数学でやった問6が分からないの」


お昼ご飯を食べ終わったわたしは、机から数学の教科書を出して付箋を貼っておいたページを開けた。


メグちゃんは一度お弁当箱を自分の机に戻しに行った。


「問6ってなんだっけ?見せて」


再びわたしのほうに向けたイスに座り、教科書をのぞきこんだ。


「解説読んでも意味がわからないんだよね」


「ここかあ。一番難しい応用だもんね」


一番難しい応用っ!?


基礎でさえ完璧でないわたしは、応用なんてできないに決まっていた。


「えっとね、これは…。まず問題の文章の整理からしてみるよ」


どうやらこれは問題を解き始める前に文章の読解が必要みたいだ。


メグちゃんはとても丁寧に教えてくれた。


「え、でも、どうしてこうなるの…?」


にも関わらず、わたしの頭じゃすぐに理解できなくて。


「これは引っかけ。この場合は、こっちの方程式使うんだよ」


「んん…っ!?」


ますます混乱しそうになった。


本当は別の問題も聞こうと思っていたのに、結局、この問6をどうにか理解したところだけで、昼休み5分前の予鈴を聞いてしまった。


「メグちゃん、ありがとう!」


「どういたしまして。胡春、ここ最近、勉強熱心だね?」


感心しつつ、不思議そうに言ったメグちゃん。


そんな態度をとるのも無理はなかった。


わたしは今までメグちゃんに“ここ教えて”と言ったことがなかったから。


分からなくても放っておいて、定期テスト一週間前になってからようやく取りかかるといったところだった。

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