僕に君の愛のカケラをください
ショッピングセンターは徒歩10分だったが、荷物が多くなると葉月が言ったため、蒼真の車で向かうことにした。

「ジロウがやっぱり心配だから一人で行こうかな」

と言う葉月。

蒼真は、買い物の間、ジロウを靖晃に看ていてもらえるように手配した。

なんと、靖晃は蒼真と同じマンションの別の階に住んでいるらしい。

「よう、蒼真、葉月ちゃん、子育ては順調かな?」

片手に仕事の書類を抱えて蒼真の部屋を訪れてきた靖晃は、ニヤニヤ笑いながら二人を冷やかす。

「順調ですよね?蒼真さん」

「そう、だな」

「カーっ!このリア充め。さっさと買い物行ってこい」

靖晃は、どかっとリビングのソファに腰かけると、ゲージの中のジロウを見て

「俺達も仲良くパパとママを待ってような。ジロウ」

と言って笑いながらパソコンを操作し始めた。

「靖晃さん、よろしくお願いします。お昼は何がいいですか?」

「えっ?葉月ちゃん、作ってくれるの?じゃあ、唐揚げ!」

「ふふ、社長も副社長もお子様メニューがお好みですね。了解しました」

葉月は靖晃に敬礼すると、蒼真の腕を掴んで

「蒼真さん、早く行きましょう」

と、蒼真を玄関に引きずって行く。

靖晃はそんな二人を見て微笑んでいた。
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