僕に君の愛のカケラをください
越えるべきハードル
それから一週間後。

ジロウの目が開き、耳が聞こえるようになって、ヨチヨチ歩きを始めた。

生後3週間になると、自分で排泄できるようになり、離乳食も始めた。食事はミルクと混合で1日4回に減り随分楽になったが、少しずつ動きが増え、目が離せなくなくなってきた。

蒼真と葉月の関係は順調で、ジロウの成長を見守るK&Sのスタッフの協力も得られて、ペット同伴の勤務のモデルケースになりそうだ。



ジロウを引き取ってから一ヶ月が過ぎたある日。

蒼真が出先から帰社すると、防音個室の中に置いた1メートル四方のゲージの中を動き回るジロウの側に葉月が見当たらない。

そこには大亮が陣取り、時々ジロウをあやしている。

「大亮、葉月はどうした?」

「社長室に呼ばれて行ったけど?」

「靖晃のところか?」

蒼真は、そのまま自分のデスクにつくと、パソコンに今日の活動記録を打ち込む。

しかし、それから30分経っても戻ってこない葉月が気になり始め、蒼真は社長室に向かって歩き出した。



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