ONE〜想いは一つ〜
車に乗り込んだ私は息を飲んだ。

ごめんなさい、本当にごめんなさい。
誰も知らない…私の勤務が今日で終わりどと言う事を。

師長と医局長にしか伝えていなかった。

みんなに言うと心苦しいから、と理由をつけて私は今日で最後だと言う事を隠した。

由香里にも言ってなかった。

散々迷惑をかけたのに…

私の頬に涙が伝った。

短い期間だったのに、私にはとてつもない時間だったんだと、その時初めて気がついた。自分の気持ちに…

「今頃気がつくなんて…バカね、私は」


手で涙をぬぐうと、車を発進させた。
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