ONE〜想いは一つ〜
「佳織!?なんでここにいるんだ?」

「な、南條?な、なんで…」

ヤバイ。
広樹さんにも、東和で働くとは言わずに南條の病院を辞めていたし、中元先生が学会でいないからと、帰ってくるまでに心を落ち着かせる意味で入局を、決めたのに…まさか、初日にこんな事になるなんて…

「一哉!お前学会は?来週だろ、帰ってくるのは」

うんうん。
そう!なんで帰ってきてるの?
谷岡先生の言葉に内心、頭を激しく振る私。

「お前、東和には行かないって言ってたよな?なんで来たんだ?」

「なっ、い、いいじゃない。私がどこでやろうと」

なんで広樹さんは余計な事突っ込んでくるかな。

「学会…な、開催されるホテルで食中毒が出たから、中止になったんだよ。来週に延期になったから帰ってきたんだよ。でもなんで、ここに南條がいるんだよ!俺何も聞いてねえーぞ!」

言ってませんもの。
あなたが帰ってくるまでに、心落ち着かせる予定だったのに。
っていうか、延期だなんてそんな事あるの?有り得ないんだけど。

「ちょっと来い。あ、すみません、佳織…南條先生借りますね」

「えっ?な、なんで?」

私は、怒った広樹さんに医局から連れ出された。
< 86 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop