総長さんが甘やかしてくる①(※イラストあり)


翌日早朝。


幻さんが、うちまで迎えにきてくれた。


わたしを職場へ送るためだ。


「おはようございます!」

「しっぽ」

「え!?」

「髪」


ああっ、うしろでまとめたことを言っているのか。


「この方がいいかと。……変です?」

「…………」

「幻さん?」

「……りす」


!?


「行こうか」

「はい!」


幻さんって。

動物好きなのかな……?


朝の商店街は、静かなものだった。


24時間営業をしているインターネットカフェや朝まで営業中のカラオケ店の看板はついているけれど、シャッターの閉まっているお店がほとんどだ。


今近くを歩いていった大学生くらいの人は朝帰りコースなのかな、と予想してみる。


ちょっと前のわたしは、自分が、こんな空間に立つ未来を想像できただろうか。


パン屋さんは商店街にあるけど大通り付近なのでバイクで店前まで行くことが可能だ。


お店の前で、降ろしてもらう。

スミレさんからは、今の時間は正面の扉に鍵を閉めているので裏口から入るように言われている。

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