あなたが居なくなった日。

いま楓と私を悩ませている問題。

それは今日の午後に先生から告げられた『交流演奏会』だ。

『交流演奏会』とは、年に一度行われる地域を巻き込んだ発表会だ。

会場は校内のコンサートホール。

演者は日替わりで弦楽器、管楽器、打楽器、声楽ときて最後がピアノ。

見に来てくれるのは地域の子どもや水戸高受験を考えている受験生が主だった。

まあ、要するに我が校の宣伝の為の演奏会のはずだった。

去年までは……。

正直に言うと演奏会のおかげでクラスから好奇心に満ちた視線を浴びることはほとんどなかった。

専攻が特殊なだけにみんな音楽に対しては真剣で興味の対象は演奏会へと向いたのだ。
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