あなたが居なくなった日。
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外に出ると夕方特有の忙しない空気が商店街には満ちていた。
そこは明るいオレンジの光ではなく、既に濃い紫に染まっている。
錆びついた街灯が点り始め、店先ではおじさんやおばさんが本日最後の叩き売りをしている。
だけどそこに立ち寄る人よりも、既に買い物を終え帰路についている人の方が多い。
その中を楓と私は人並みに逆らうことなく流れに乗って歩いている。
「本当に良かったの?」
「うん。まずは家でゆっくり考えてみるよ」
楓は腕にメドレーの楽譜を抱えている。
対する私は手ぶらだ。