あなたが居なくなった日。
ああ、そうだ。
私はそんなお母さんの姿を見ていてピアノを弾きたくなったんだっけ。
あの頃はただただ楽しかった。
練習していた曲をマスターできた時はもちろん、指が上手く動かせなくて変な音を出してしまってもお母さんと一緒に笑い合ってたっけ。
思い出せば自然と頬が緩む。
と同時にふと思う。
ピアノのことでこんな風に頬を緩ませたのなんていつ振りだっけ?
振り返ってみてもそれを上手く思い出せない。
もちろんいまだってピアノを弾くのは楽しいと思っている。
だからこそ音楽科のある学校を受験した。