旦那様は溺愛至上主義~一途な御曹司に愛でられてます~


 店の外へ出てタクシーを拾おうとする私を佳奈さんが引きとめた。

「ちょっと待って。もうすぐお迎えがくるから」

「へ? お迎え?」

「あ、丁度きた」

 佳奈さんの視線を追うと、そこにはいるはずのない人物がいた。

「どうして」

 呆然とする私の前に立ち、頭にポンッと手を置く成暁さん。

「佳奈から連絡もらった。香澄が酔い潰れたから送ってあげてほしいって」

「ええ!? そんなに酔ってませんよ!?」

「いいからいいから。女の子は甘えておけばいーの」

 佳奈さんに強引に背中を押されてしまい、どうしたらいいのか分からずあたふたしてしまう。

「じゃあ俺たちは飲み直すから~! 成暁、吉岡ちゃんのこと頼んだぞ!」

「言われなくても」

 さらりと返した成暁さんに、酔っ払いの長谷川さんはヒューヒューと囃し立てた。

 ちょっと待って。めちゃくちゃ恥ずかしいんだけど……!

「すぐそこに車止めてあるから。歩ける?」

 小さく頷くと、成暁さんの腕が腰に回る。

 そこまでしてもらわなくても歩けるのに……。
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