彼と彼女の花いちもんめ~溺愛王子の包囲網~
彼は意外と強引です
レンタルしたDVDは、アクションが1本と、ラブサスペンスが1本。
適当に流し見する為に借りたので、その役目は十分果たしてくれたといえる。
ソファに並んで真面目に見ていたのは最初だけで、開始15分も経つと、篤樹は手持無沙汰になって、みちるの二の腕をふにふにと揉み始めた。
「もーなに・・・」
落ち着かない様子でみちるが篤樹の腕を叩く。
「この映画、面白く無いよ」
「まだ15分位でしょ・・これから・・・あ、ちょ・・・」
当然のように決めつけた篤樹を、窘める様にみちるが言い返す。
篤樹としては、面白くても、面白く無くても、どちらでも良い。
みちるの腕を掴んで強引に抱き寄せれば、いつもより甘い香りがした。
「香水・・?」
確かめる様に首筋に鼻先を押し付けると、みちるが困ったように身を捩った。
「休日だから!」
「それだけ?」
「そ、それだけって・・・」
「やたら甘くていい匂いだけど・・・」
「・・・会社向きじゃないから・・」
「デート用ってこと?」
「・・・」
「否定しないんだ・・可愛いなぁ・・でも、こうしてないと分かんない」
「ん・・・っ・・・や・・・っ」
甘える様に肩に持たれた篤樹が、深呼吸する。
柔らかいみちるの背中を抱き寄せて、マキシワンピのうえに羽織ったカーディガンをずらせば、綺麗な鎖骨がむき出しになった。
白い肌に吸い寄せられるように唇を寄せる。
「ちょっ・・・篤樹っ」
圧し掛かる様にして、ソファの背もたれにみちるの体を押し付ける。
慌てた様子で服を直そうとするみちるの指先を掴んで、ペロリと舐めた。
予想通り、みちるは真っ赤になって固まる。
「グロス、落ちてもいい?」
キスしたくなって尋ねたら、みちるが恥ずかしそうに頷いた。
緩くまとめてある髪を解いて、くしゃりとかき混ぜる。
髪に、額に、瞼に、頬に、キスをしてほっと息をつく。
こうでもしないと、見えている場所にキスする位じゃ治まりそうにない。
「みちるもキスしたい?」
篤樹の問いかけに、みちるがちょっと迷ってから、啄むようなキスをしてきた。
ふわりと触れた唇からも甘い匂いがする。
「いちご?」
「・・・舐めてみて」
「・・・甘い・・・」
篤樹の回答に、みちるが満足げに頷く。
「こっち向いて、もっとしたい・・味見しないと・・・」
「ん・・・っ・・・ちゅ・・」
みちるの唇を食べる様に何度も角度を開けて篤樹がキスをする。
思考が解けて、吐息が混ざり合う。
甘いリップ音が、鼓動を速めて、篤樹の手がみちるの体を弄る様に撫でた。
「ぁ・・・ん・・・」
みちるが堪え切れずに吐息交じりに声を漏らす。
はちみつのような甘い声。
篤樹の指がワンピースの肩紐を落とす。
「甘いのは、そこだけ?」
小さく囁いて、鎖骨に吸い付く。
胸元がギャザーになったワンピースは軽く引っ張れば、すぐに下にずり落ちた。
ストラップレスのブラが片側だけ露わになる。
「や・・・」
「こっちも・・舐めていい?」
「っ・・・ダメ・・」
「なんで・・・みちるの全部食べたい」
甘える様に、ブラと肌の境目にキスをして、篤樹が強請る。
ダークブラウンの髪が、みちるの肌を擽った。
「イイって言ってよ・・」
火照り始めた肌を引っ掻く様にして、篤樹が誘うように笑った。
「ほら・・触って欲しいって、みちるも言ってる」
「言って・・な・・・っ」
みちるが這い上がる快感から逃れる様に顔を背けた。
火照った頬にキスをして、篤樹が残ったもう片方の肩紐にも手を伸ばす。
と、インターホンが鳴り響いた。
「・・・あ、篤樹・・・」
「いいよ・・どーせ。セールスだし」
「ち、違うって・・」
「いいから・・・それより・・」
再びキスをしようとみちるの顎を引き寄せると、もう一度インターホンが鳴った。
篤樹が舌打ちをする。
「さっき、頼んだでしょ!」
慌てたように、篤樹の胸を押し返して、みちるが体を起こす。
「宅配のピザ!!!」
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