君と計る距離のその先は…

 女性社員の中にはここぞとばかりアピールする人もいて、よくやるなぁって他人事のように眺めていた。

「真野さんはどう?」

 私にも回ってきた質問に気乗りしないものの「宮崎さんかなぁ。物腰の柔らかい感じが」と答えた。

「軟派なのはいいのかー?」とヤジが飛んで「女性に優しいと言ってくれないか」って宮崎さんは魅惑的なウィンクを飛ばして女性社員をメロメロにしていた。

 なんというか…。
 真面目過ぎる真野と言われる私にはノリについていくだけでもやっとで、エスケープする為にトイレ待ちをしていたようなもので…。

 そこまで思い返すと連想ゲームよろしくで、あの惨事までも思い出しそうになってブルブルっと頭を振った。
 仕事、仕事。仕事に集中しよう。

 だいたい私に付き合うなんて無理だ。
 そんなの無理に決まってる。
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