君と計る距離のその先は…
16.重大任務

 緊張しながらも目的地に着いて深呼吸を繰り返した。

 大丈夫。薬は飲んで来た。
 いつもの薬と強めの薬も持った。

 着替えなんかのお泊まりセットも持ったし。
 そこまで考えて、どんな突撃訪問なのかと苦笑する。

 宮崎さんと上川さんに言われたのだ。

「今日は何曜日?」

「金曜…です。」

「そう。金曜だ。」

 最初、宮崎さんが何を言いたいのか分からなかった。

「体調が悪そうな橘には早く帰るように言って、既に帰ってるはずだ。」

 週末は寝溜めだろう。
 邪魔しちゃ悪い。

 おやすみコールなんてもってのほかだ。
 このままそっとしておくのが優しさじゃないだろうか。
 そんなことを思った。

 上川さんは黙って聞いている。
 私も宮崎さんの話を黙って聞いた。

「あいつ眠れてないんだ。
 いつか仕事で取り返しのつかないミスをしでかしそうなくらい。
 それは同僚として困る。
 早く帰ったくらいで寝るかどうか………。」

 だからって、どうしろって?

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