双子の弟と幼なじみ
「ふーん。それで1人?」


「…だったら何?」


「いやー、ちょうどいいなって。
やっと美優ちゃんと2人きりでお話しできる」




なんだか嬉しそうに笑うと、りーくんはみゆに近づいてくる。


みゆはそれがなんだか気持ち悪くて、とりあえず逃げようと、机に本を置いて立ち上がる。



「え、逃げちゃうの?ほんとになびいてくれないのな」


「みゆは話したくないもん」



りーくんが入って来た扉と反対の方から出ようとすると、…開かない。


はぁ?なんで?



…美颯くんんんっ、ひどい。


こういう時に限っていらないことしてくるんだからっ…。



やだやだやだ、りーくんとお話ししてると虫唾が走る。


ほんとにやだ。



振り返ると、すぐそばにりーくんがいて。


扉に体を押し付けられる。



…みゆ、何されるんでしょうか。


殴られる?


いや…殴られるくらいならもう開き直ろう。


お話しくらいなら…うん。


嫌だけど…妥協だ、妥協。



なんて、軽いこと考えていたけど。



「美優ちゃんは、ここに来てとうとう警戒心がなくなったわけ?
もしかして、俺に心開いたりしてくれちゃってる?」



ニヤリと笑うりーくんは、慣れない身長差で見下ろしてくる。
近い。


異常なまでに近い。
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