私の彼氏は中学生です。
「私は行けるよ」



携帯のカレンダーを確認し、OKサインを出す。



「モモカは?」

「明日はバイト」

「そっかー。じゃあ、2人で行こっか」

「うん。はなとあやは北会場?」

「うん!10時くらいに行くよ」

「なるほど。じゃあ、」

「「「「「ばいばーい」」」」」



明日の大まかな予定が決まったところで4人とは別れた。

はなとあやとは別の道で、かほは汽車、ももかはバスだから駅まで徒歩。



1人で街灯が照らす道を走り抜ける。

民家じゃないせいか痴漢注意などという看板がいくつも見える。


そう暗い道じゃないし、別に怖くないけど。



そんな看板見たら確認しちゃうよね、後ろ。

誰かついてきてないか。



そういえば変な人への対策は大声で歌いながら帰るのがベストだってはなが言ってたっけな。



無理だけど。



だから、放課後4人で話したことを思い出しながら帰る。


でも、思い出し笑いしちゃって手で口元を覆って帰ったこともあった。




家に帰るとかほから明日は9時に現地ね!というメッセージに御意と武士口調で返す。


明日、何着ていこうかな。

出掛けるのが彼氏でも友達でも可愛い自分を見て欲しいということには変わりない。


だから、前の夜から前もって服を決める。

そして、朝早くから髪もメイクも夜叉のごとく本気でやる。


やっぱり、可愛いって思える自分を見て欲しいからね。


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土曜日。


私は早起きしたもののメイクも髪も早くできて時間を持て余した結果、8時40分に現地へやってきた次第。



時間っていうのはどうして待っているときはこんなに長く感じるのかな。
学校の授業もまた然り。


携帯で風になびいて乱れた髪を直し、確認する。

8時42分。


......。

ぜんっぜん時間経たない。



ガラス窓に映る黒のコルセット風ロングワンピース。

ミディアムに少しかかったウェーブする紙の間からはマーガレットのイヤリングがちらりと見える。


変じゃないよね?

シンプルにまとめすぎたかな。


自分の格好を確認していると前からきょうの試合に出るだろう中学生のグループがぞろぞろとやってくる。



「ミクー」



その後ろからかほがひょっこりと顔を出してくる。



「かほ、おはよ!」
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