Forbidden Desire~秋風に舞う葉のように~


「いや、悪いのは俺だよ。螢の気持ち試すようなことしたり、……茜の本音も見抜けなかったし…さ」


茜、って名前を口にした途端に颯人の顔が、少しだけ曇った。


その顔を見るとなんだか自分が悪いような気がしてくる。


「……やっぱり、俺が悪いよ。俺が颯人のこと好きになんなきゃ…芹沢があんなことしなくて済んだだろ。颯人が…クラスの奴らに馬鹿にされることも…」


「後悔してるのか?」


俺の言葉を遮って、颯人が俺の顔を見た。
頬杖をついたままの顔は少し怒っているようにも見えた。


「な…何を?」


「螢は……俺を好きになったこと、後悔してるのか?」


真剣な声で、颯人は言った。


「…それは……」


ジッと真っ直ぐに見つめてくる颯人の黒い瞳の光があまりに強くて、戸惑う。


思わず口ごもってしまった俺は、その瞳から目をそらして前を向いた。


さっきより少しオレンジに変わりつつある空を見つめ、高鳴る胸の鼓動を抑えようと深呼吸を一つ。


もう一度隣の颯人に向き直り、口を開いた。






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