覚悟はいいか!【完結しました】
自分を欠陥品と言う男



「俺は欠陥品なんだ」


彼のどこが欠陥品と言うのだろうか

人より遥かに目を惹く容姿
会社は一流と呼ばれている会社だ
大学だって一流だろう
仕事も出来て、エリート街道まっしぐら
女にだって不自由していない

だからと言って同姓に敵が多いわけではない
彼を慕っている人は沢山いるのを知っている
同じ課の男性が何度も彼を誉めているのを聞いた


そんな彼が欠陥品?
何か言おうかと思ったが、先ずは彼の言葉で聞きたい


「お前はほんと出来た女だな」

「え?」

「ちゃんと話を聞こうとしてくれている
これからする話が面倒な話なのはもうわかっただろ?
たぶん、何か言いたかったんだろうけど飲み込んだろ?
社の奴等が「津川さんには嘘つけないわ」って言ってた意味がよくわかるよ
あ、悪い、脱線したな」

彼は"恥ずかしい話なんだけど"と言ってあり得ない事を言った


「俺、前の彼女と別れてからもう5年になるかな?
女を抱けなくなったんだ」

「え?」

「直前まで抱くつもりで女とホテルに行ってもいざって時には女に触れることも出来なくて吐き気がするんだ
それでも、こいつならってそれなりに好みの女がいたらホテルに誘ってみるけどダメ
そんな事してこの5年間女を抱くどころか触ることも出来ないんだ」


え?
それなら今までの噂はなんだったんだろうか?
来るもの拒まず、去るもの追わず
女を取っ替え引っ替えしているって




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