覚悟はいいか!【完結しました】
過去の呪縛side誠



一方的に電話を切られて直ぐに車を発進させた
いったん家に帰って車を取りに行ってて良かった


洋介が出た時は洋介だと思わなくて男の声に頭に血が昇った
まだ、何がなんだかわからない
何で洋介と司が?

優の電話に出たのだから間違いなくあの二人の所にいるんだろう



「うるさい!しつこい!何度も鳴らすな!」


洋介が顔を出した
何度もチャイムを鳴らした事を怒っているが当たり前だ

優に会いたい
話をしたい


「優!」


俺は洋介を押し退けて中に入った
リビングには優の姿はなくて


「司!優は?」


リビングに座る司に聞くと司は静かに言った


「誠、座って」

「優に会いたい!会わせろ!」

「誠!」


司の目には涙が溢れていた
司の涙なんて見たことがなかった
どっちかと言うと洋介の方がよく泣いていた


「誠………とりあえず座れ
優ちゃん、いま疲れて寝てるから
二人とも話が出来る状態じゃないだろ」


俺はぐっと我慢して座った
ただ、この二人の所にいてくれて良かった

まず、言わないといけないことがあるだろ


「洋介、司、ありがとうな
ほんと、助かった」

頭を深く下げた

優の家に行っても真っ暗で人の気配はなかった
居留守を使われてるかも知れないと思って
電話して、部屋の中から音がしないか耳を澄ませたりもした

美幸さんの連絡先もわからなかったし
洋介が出た時は取り乱したが、ホッとした


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