覚悟はいいか!【完結しました】
好きって言います


温もりが優しかった
司さんが大丈夫だよって頷いてくれた
それだけで、あんなに荒んでいた心が落ち着いた


「誠さん、歩けます」

「だめ、優に触れてたいから諦めて」


所謂、お姫様抱っこのまま
恥ずかしくて誠さんに隠れるようにするしか無かった

車から降りて誠さんのマンションと思われる所に入っていった
扉の前で下りようとしたけど、「ダメ」と言われて器用に誠さんは私を抱き抱えたまんま鍵を開けた

中に入ってソファーに座らされて、ぎゅっと抱き締められた
涙が溢れそうになりながら、私はその温もりに答えられない
背中に触れようとした手は宙を舞っていた


「優」


いつもの優しい呼び方
勘違いしてしまいそうになる

あの綺麗な彼女と私じゃ比べ物にならない
付き合っていた時間は幸せだった
今までの彼氏とは違った
だから、ちゃんと別れないと………

別れの時は追い縋るだろうと思っていたのに
今は冷静だった
洋介さんと司さんのおかげだ


別れを受け入れる準備が出来ているのかな
あまりに彼女との差に戦うまでもないのがわかってるのか

でも、1つだけ
言いたい

誠さんは私をちゃんと好きでいてくれた
愛してくれていた
それは、全身でちゃんとわかっていた

嘘はなかった

だから、最後に
言いたくてずっと言えなかったこと

愛される自信の無かった誠さんに伝えたい



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