覚悟はいいか!【完結しました】
失う怖さside誠



「え?」

「誠!よく聞け!優ちゃんが階段から落ちた
今、病院で手術してる
あちこち骨折してるらしい
お前もうやること終わっただろ?
俺からも、1日早いけど帰すように話しておくから
いますぐに戻ってこい」


通話が終わった音を聞きながら俺は動けなかった
長崎での仕事も終わりあとは最終確認だった


昼の2時頃に外線をつなぐ内線は俺を恐怖に陥れた



優が?
手術?
優が資料室に閉じ込められたと聞いた時は嫌な汗が吹き出た
でもあの時は優と話をしていたから
無事もわかっていたから
でも、いまは違う


慶太の焦った声を思い出して身体が震えた
携帯を持つ手が大きく震えてもう片方の手で押さえるのに、震えは止まらない


優、優………


俺は急いで鞄だけ掴んで会社を出て、タクシーに飛び乗った
慶太がチケットを用意してくれていると言っていた時間の飛行機に乗ることができた


座っていても身体の震えがずっと止まらない


もし、優に何かあったら
頼む、優
俺のところにちゃんと戻ってきて


祈るしか出来ない自分が歯痒い


慶太が病院の場所をメッセージで送ってくれていた
タクシーを捕まえて病院に向かう
その間も慶太からは何も連絡がない
それが更に不安を煽る

連絡出来ない何かがあったのか
連絡するような事にはなっていないのか


病院について受付で名前を伝えればまだ手術中だと言われた
まだ?あれから何時間経ってる?



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