略奪"純"愛 『泣かすなら俺がもらう』
かと思うと、外に出た途端に、くすくすと笑い出した。

さっきまで、怒ってたのに。

「どうした?」

結の顔を覗き込んで聞いた。

「別に。」

何なんだ?

でも、ま、怒ってるよりは、いいか。

俺は、愛車の助手席に結を乗せて、車を出した。

「ねぇ、どこ行くの?」

結が聞いた。

「パンダ見に。」

俺が答えると、

「プッ
ふふふっ」

結は、思いっきり吹き出した。

「何? なんか変な事、言った?」

「ううん。言ってない。
ふふふっ」

まだ笑ってる。

「何だよ。すっげー、気になるんだけど。」

「違う、違う。
天ってば、一見、強面なのに、かわいいって
思っただけ。」

「何だよ、それ。」

「だって、パンダやペンギンのスタンプ使う
男子なんて、女子力、高過ぎでしょ…って
思ってた所に、パンダ見に行くって言うから。
ふふふっ」

「男がパンダ見たら、悪いのかよ。」

「悪くないよ。
私の中の天のイメージになかったから、
笑っちゃっただけ。
私はいいと思うよ、うん。」

「全然、フォローになってないし。
パンダやめた。」

「えぇ〜!?
やだ、パンダ行きたい。
ねぇ、天、パンダ行こ?」

うわっ、何これ!?
すっげー、かわいい。
こいつ、こんなに素直に甘えられるんだ。

「しゃーねぇな。」

俺は強がって言うと、左手で結の頭をわしゃわしゃと撫でた。
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