かんしゃ の きもち

 起き抜けの東吾さんが、私の手元を覗き込みながら、そんなことを言う。
 やっぱりこういうの、やらなくてよかった、と。私も内心、思っていたから、胸をなでおろす。

 一方、手紙の方はマキちゃんから。

 あの後、山本くんに思い切り振られたことや、今まで私に対して感じていたモヤモヤ。そういったことが淡々と書き綴られていた。

――これでやっと洋子と、きちんと親友になれたような気でいるのは、私だけかな。

 最後に書かれたその一文を読んだ途端。
 思わず自室に駆け込むと、清住さんの奥さん、美知留さんからもらった可愛い童話の挿絵が入った、とっておきの一筆箋を引っ張り出す。

 深呼吸すると、ダーマトグラフで一息に、一言だけの返事を書いた。
 私もだよ、と。

「コーヒー、入ったぞ」

 東吾さんの声に、私は、はーいと返事をしながら、香ばしい香りに包まれた茶の間へ、パタパタと駆け込んだ。

                              【 おしまい 】
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