極上御曹司の愛妻に永久指名されました
風間に名前を呼ばれてハッとする。
「え?何?」
咄嗟に笑顔を作るが、どうしても顔が引きつった。
「降りるぞ」
すでに風間は私のキャリーケースも持っていて席を立っている。
「あ……うん」
慌てて私も席を立って新幹線を降りると、駅を出て風間と一緒にタクシーに乗った。
私の家に先に向かうことになったのだけど、もう風間と話をする余裕なんてない。
運命の時が近づいてきている。
もし黒沢さんがいたらどうしよう。
自宅周辺の景色が目に映ると、息苦しさを感じた。
これは……マズイ。
また倒れるかも。
そう思った時、隣に座っていた風間が私の手をギュッと握ってきた。
「大丈夫だ。黒沢がいたとしても俺が守ってやる」
その言葉に心が救われた。
「うん」
彼の手を握り返して、小さく返事をする。
家族は私の状況をわかってくれない。
今、私の味方は風間だけだ。
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