極上御曹司の愛妻に永久指名されました
三人に手を振り、車を降りる。
黒沢さんの車は近くになかった。
そのことにホッと胸を撫で下ろす。
風間も私の後に車を降りて、辺りを見回した。
「あの男はいないようだな」
黒沢さんのことがあって降りて来てくれたんだ。
「……ごめん。なんか心配かけちゃって」
私が謝ると、彼は優しい目で微笑んだ。
「気にするな。それと、忘れ物」
『忘れ物』?
キョトンとしながら自分の持ち物を確認すると、風間が黒のクラッチバッグを差し出した。
「あっ……バッグ忘れてた」
ハハッと乾いた笑いを浮かべ、バッグを受け取り礼を言う。
「ありがと」
やっぱり黒沢さんのことにかなり動揺しているのかな?
風間が言うように、もし……就職しても、会社に彼が現れたら?
……怖い。
どうやって逃げていいのかわからない。
「電話、忘れるなよ。それと、そのドレス、やっぱすっごいそそられる」
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