SarcastiC!〜リスロマ女子×コミュ障男子〜
プロローグ



「あぁ……今回もダメだった……」



放課後のいつものフードコートの定位置。

紙コップの水を一気に飲み干し、朱里は芹と七海に告げた。



「やっぱり、こう気持ち悪くなるの。なんでかわかんないけど。服装も悪くないし、喋り方も普通。身長も高いし顔も良い方だと思うよ? でもね〜……」



またか。と鼻で笑いスマホを弄る芹。



「私、調べてみたんだけどね。」 と、苦笑いしながら七海は言った。



「朱里ちゃんって "リスロマンティック" なんだと思うの。」



「リスロマン…ティ?? なにそれ」



「相手に恋愛感情を感じるけど、相手から恋愛感情を向けられることを望まない…みたいな。正に朱里ちゃんじゃない?」



朱里の中で何かがピタっと型にはまったような感覚があった。



「蛙化現象っていうのが起こってるのよ。朱里ちゃんはいつも。拗らせてるのね。」



すぐにスマホを取り出しリスロマンティックと蛙化現象を検索してみる。



(あぁ…これだ。私だけじゃないんだ。)



「やっぱり私は好きな人と結ばれることは無いのか…。彼氏出来ないのか…。」



昔からそうだ。もしかしたら恋かも! と思い、猛アタックして、良い感じになって、相手からの好意に気づいたらだんだん冷めていく。「好き」なんて言われたら気持ち悪くて正に呪い。



「いや朱里、それ相手から見たらただのクズだからな?? 良い感じになってデートしていざ告ったら気持ち悪い?? 罪な女すぎ。同情するわ〜過去の対象くん達に。」



なんて、芹に怒られた事もあったり。

とにかく感覚的には乙女ゲームのそれと近いのだ。攻略が1番楽しい。攻略対象と結ばれたら別の攻略対象へ。なんて、確かにクズかも…。



「でも!! 次こそは本当の恋を見つけてやる!」



少女漫画みたいにキラキラした恋がしたい。自分はまだ恋に恋してるだけだ。と言い聞かせ続けた日々。

きっと、次こそは。きっと……



「リスロマンティックなんて越えてやる!! 私は、私は! 本当の恋愛がしたいんだーーー! 」



熱血ドラマのように夕日を脳内でイメージして決意を叫んではみたが、ここはフードコートだった。

周りの視線と2人の「うるさい」の声は冷たく、朱里はしおれたポテトをつまみ、小さなため息をついた。

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