10日間彼氏
彼はだけど自分は、傘に入らず濡れている。

雨に濡れた真剣な眼差しに、瞬間ドキリとした。

「いい、いらないから」

「風邪ひいたらいけない。ほら持って」

「いい、いらない、あなたなんて嫌いなんだから」

彼は強引に私に傘を持たせようとするけれど、私は首を振り嫌がった。

次の瞬間、グイッと強い力で腕を引っ張られたかと思うと、彼の胸に顔がぶつかった。

片手で抱き寄せられ、一瞬目を閉じると唇に柔らかな感触がした。

触れるだけのその甘いキスに、何もかも忘れて深く沈んでしまいたかった。

だけど、それはもうできない。

流されて、これまでと同じように彼の言いなりになりたくない。

「やっ・・・離して」

キスが終わった瞬間に小さく叫んだ。
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