10日間彼氏
声を潜めて言う彼に、私はふにゃっと笑った・・つもりだった。

「えっ、なんで。どうした?」

「ふっ、うっ、だって、今、青くんのこと考えてたら、後ろから現れるんだもん。だからだから」

今にも溢れそうだった、悲し涙は、嬉し涙に変わっていた。

たった今、会いたいって、凄く会いたいって思っていたの、彼に通じたのかな。

「あー、そっか。そっか。よしよし」

彼に頭を撫でて、慰めてもらうと自然と笑みが溢れ出した。

「用事終わった?」

「うん、この2日間勉強漬けで、つかれたよー。晩御飯でも食べに行かない?」

ふーっと息を吐いた彼は自分の肩をトントンと叩く。
< 51 / 224 >

この作品をシェア

pagetop